2020.12.3

編集部主導の取り組みでウェブメディアを成長させた「週刊女性PRIME」

日本ビジネスプレス

メディア CMS
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MediaWeaverをご利用いただいている中でも急成長を遂げた媒体のひとつ週刊女性PRIME(主婦と生活社)。2016年7月にMediaWeaverに移行し、2018年以降、イールドマネジメント、SEO対策など、さまざまな施策に取り組んできました。現在では月間PVが1.7億、運用広告の収益額、収益効率についても大幅に改善。この大きな成長には、どんな秘訣があるのでしょうか。週刊女性PRIME、WEBプロデューサーの近藤光氏と、マーケティング担当の秦航平氏に伺います。
(聞き手:真中健司 日本ビジネスプレス メディアビジネス事業部 事業部長)
 


 

■資料で社内を動かす

――週刊女性PRIMEは、MediaWeaver利用媒体の中でもPVや広告収益の成長率がトップクラスです。この成長の要因をお聞かせください。

近藤光氏(以下敬称略) 編集部は全部で70名くらいの大所帯で、芸能班や社会班、グラビア班などがあり、その中のひとつとしてPRIME班があります。私と秦はそこに所属して、週刊女性PRIMEを運営しています。
ウェブメディアとしての特徴は、基本的に編集部の中で完結させている点です。弊社にはデジタル担当の部署もあるのですが、関連する部署が多くなると、判断がブレたり、意思決定にも時間がかかります。私たちは編集部の中でサイトの分析・ディレクションからアドネットワーク広告を中心としたマネタイズ施策にわたりすべてやっているので、意思決定のスピードが早く、その時々で最良の選択ができていると思います。

――社内でその方針が通ったのはどうしてでしょう。

近藤 まずは共通の言語を増やすということに努めました。特に、ウェブサイトの事業としてKGI・KPIをしっかり決めて、編集部だけでなく会社全体に伝えてきたことが大きいと思います。

秦航平氏(以下敬称略) 大切な局面では、しっかりとした資料を作って、一回一回きちんと説明をしてきました。ファクトをもとに「我々はこうしたい」ということを、役員層にまで理解してもらえたことが大きかったと思います。

近藤 数字が見えるということが重要です。月単位、3カ月単位での数字が、それも右肩上がりの成果が目に見えることで、「編集部にまかせる」という土壌ができたのではないでしょうか。

――拝見しましたが大変すばらしい資料ですね。

 もちろん出版社ですから書籍の出版に際しては企画趣意書と採算分析表を用意します。ただし、デジタル領域で新規提案の際に作るべき資料の雛形というものは特になかったのです。そんな中で自己流でもいいから躊躇せずに作ってきたことでやりたいという“気迫”が伝わったのではと思っています。


■ウェブで戦える人材を育成する

――では、編集部内での反応はどうでしたか? 紙の週刊誌の仕事をしていた部員がネットの仕事をしていくことに反発などはなかったのでしょうか。

分析資料

近藤 反発はあったかもしれませんが、自分たちがお客様からどのように収益を得て、どう事業が成り立っているかを突き詰めていくと、ウェブに対応しないと前に進めない、事業として成り立たないのです。それも含めて数字で説明してきたことで、納得してもらえたと思います。
また、自分たちの作った記事が紙だけではなくて、広くYahoo!ニュースやSNSでも読まれるのは、記者にとって基本的にはいいこと。自分で取ってきたスクープなのに、それが誰にも影響を与えなかったらさみしいものです。目に見えてPVが上がって、それぞれの記者が「自分の記事が読まれている」という実感を持てたことは大きいのではないでしょうか。

 紙の記事をウェブに掲載するにあたって、タイトル付けや転載する写真など細かい部分では異論が出たりします。その場合は、話し合って改善策を見つけていきますし、その努力を怠らないことが大切だと思います。

近藤 デスク(副編集長)間の情報共有には特に気を払っています。特に我々はニュースサイトなので、芸能班とか社会班のデスクに、なぜこの記事がはねたのか、週刊女性PRIMEとして何を目指しているのかなどは、可能な限りフィードバックしています。

――WEBに対応できる人材をどう育てていますか。具体的な取り組みを教えてください。

近藤 まずはPRIMEチームの人数を増やし、皆が共通の言語で話せるようになることを目標にしてきました。サイト施策に関して体系的な知識を得るために、たとえばウェブ解析士の勉強をしてもらったり、HTMLとは何かCSSとは何かといったレポートを書いて皆の前で発表してもらったこともありましたね。若い人たちには、日本ビジネスプレスさんの力も借りつつ、専門家と話ができるくらいにまで成長してもらいたいと思っています。

 Yahoo!ニュース、オーガニック、LINEなど、ひとりひとりに担当する外部メディアとKPIを決めて、3カ月に1回ごとに振り返りをさせています。KPIの進捗を確認するシートを埋めることで、データに向き合う、資料を作るという姿勢が形成されていると思います。
それと並行して、週に3本オリジナル記事を作ることも課しています。そうすれば、自分の作った記事がサイトにどのくらい影響を及ぼしたのか肌感覚で分かります。
編集と分析の両方をやらせていることで、一人ひとりの実力の底上げにもつながっていると思います。

■デジタルメディアの今後を見据える

――サイトの立ち上げから今日まで、一番大変だったのはいつでしょうか。

近藤 立ち上げ前の社内・編集部への根回し、業者選定をするあたりでしょうか。そのときは、(スクープの)張り込みをしながら事業計画書を作って、ウェブのこともイチから学んで…という感じでしたね。張り込み中は目を離せないので勉強も思うようにできなくて、本当に大変でした。

――メディアをやってく中で、紙とデジタルで発揮される能力に違いは感じますか。

近藤 「編集者の勘」ってけっこう当たるといいますか、馬鹿にできないと思っています。勘で時代に追いついて流行を捉える。一方、デジタルでは数字からわかることがあります。その両者をいいとこどりできる時代になってきたので、これからより面白いコンテンツが生まれそうな気がしています。

――この2年間にデジタルで打った施策として、アドソース最適化、ヘッダービッディング導入、SEO対策、UI/UX改善などがありますが、最も収益インパクトのあった施策は何でしょうか。

 日本ビジネスプレスさんと取り組んできたアドソース最適化、ヘッダービッディング導入で広告単価を大きく向上させることができました。また、外部サイトからいかに流入させるかですね。特にYahoo!ニュースから本サイトに遷移するリンクのCTRをどれだけ増やせるか、日々Yahoo Insightを見て、リンクの選定と文言をブラッシュアップしていきました。
また、以前は雑誌の記事を転載して終わりでしたが、何か芸能ニュースが発生すると、すぐに後追いのウェブオリジナル記事を作って公開することができるようになりました。これも大きかったです。

――年間収益は、デジタルメディアとしてかなり高いところまで来ています。今後はどういった施策を考えていますか。

近藤 Googleが広告のトレンドを変えてくるという話があります。また、近く、お金を払ってコンテンツを読む時代が来るでしょう。そう考えると結局は「いいコンテンツ」を作ることが、一番重要な気がします。
そのために、人に投資するとか、取材費をもっとかけるとか、編集部が一丸となって取り組んでいく。あとはタレコミが多く集まる「仕組み」を強化したい。週刊女性PRIMEのブランド力を強化する必要もありますし、その上で、動画などの事業も展開していきたいと考えています。

■MediaWeaverとメディアのつきあい方

――弊社やMediaWeaverをご利用いただいて良かったところを教えてもらえますか。

近藤 根本に「コンテンツ愛」があるところです。前身が出版社の方々が立ち上げたというのもありますし、出版社としてどうあるべきか、それこそ共通の言語で議論できるのがいいところで、相性がよいと感じます。

 MediaWeaverというツールが最高で、加えて人が素晴らしい、血の通ったコミュニケーションができています。価格体系も良心的です。

――ありがとうございます。最後に、今後、弊社に期待することはありますか。

近藤 現時点で様々な要望にきっちり答えてくれているので、今後もこのペースでお付き合いしていきたい。そして、GoogleやYahoo!がパブリッシャーに打ち出してくる方針に先手を打てるように、飲み込まれないように、これからも一緒に取り組んでいければと思います。
 

日本ビジネスプレス担当者より

▼ 市川幸弘(メディアコンサルティング部 部長)
「責任はすべて私が取るから自由にやってみろ」
弊社にお話をいただいた時のメンバーはわずか3人。前編集長がメンバーにかけたこの言葉に正直シビれました。週刊女性本誌の編集長が週刊女性PRIMEの編集長を兼務され、とかく溝ができがちな紙の編集とネットの編集の調整をされていました。そんな後押しを受け、やる気に満ちて、チャレンジ精神旺盛な3人の編集者は、自分たちがやりたいこと、試してみたいことを次々にご要望され、その期待に答えるべく弊社もさまざまな機能の提案や実装をしてきました。昼夜を問わず今ではできないくらい”密”な打ち合わせを重ね、何をしたらいいか、どうしていくべきか、自分たちはまだまだ学びたいんだ、という向上心を常に持ち続けておられ、それは今でも変わっていません。
MWをご利用になられてから、実に5倍以上のPVを叩き出すサイトへ成長されました。しかし弊社はあくまで仕組みづくりのお手伝いをしただけで、その原動力となっているのは、現場の人たちのやる気と行動力、そしてコンテンツ力に尽きると思います。週刊女性PRIMEはまだまだ成長できると考えています。弊社は単なるシステム屋ではなく、メディアを成長させていくためのパートナーとして、今後も皆様をご支援していきたいと考えています。

▼ 真中健司(メディアビジネス事業部 事業部長)
2年以上事業をご一緒しておりますが、日々ワクワクさせて頂いております。週刊女性PRIME様との取り組みにて編集部が事業主体となって進めていくことがメディアのDXの一つの解であると学ばさせて頂きました。今多くのメディアで事業戦略、組織体制含めDX領域において様々な議論がなされておりますが、主婦と生活社様、週刊女性PRIME様のDXにおける取り組みは課題を感じられているメディアにとって大きなヒントになると思っております。
弊社では、メディアの事業戦略、組織体制検討についてもサポートさせて頂いておりますのでご興味のあるメディアご担当者様はお気軽にお問い合わせください。

近藤光氏

2011年主婦と生活社に入社。「週刊女性」芸能班の編集記者を経て、2015年「週刊女性PRIME」を創刊。webプロデューサーとしてサイトのグロース・事業運営に当たるほか「週刊女性」副編集長として、紙媒体のコンテンツ・業務改善などに従事。

秦航平氏

2000年主婦と生活社に入社。「週刊女性」の芸能・社会などの編集記者、雑誌取次営業などを経て、2017年より「週刊女性PRIME」マーケティングを担当。ネットワーク広告の運用やタイアップ広告施策、外部流入施策などに取り組む。

聞き手:真中健司(日本ビジネスプレス メディアビジネス事業部 事業部長)

日本電気株式会社、リクルート株式会社、株式会社ダイヤモンド社を経て、独立、起業。2018年日本ビジネスプレスに参画し、メディアの事業戦略、マネタイズに特化したサポートを行うメディアビジネス事業部を立ち上げる。現在同事業部にて20媒体以上のメディアの事業戦略、広告収益改善のコンサルテイングを行う。リゾーテック株式会社代表取締役、フューチャーダイブ株式会社代表取締役。

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