以前の記事で「スクロール率」と「読了率」を取得するべき理由と取得方法について紹介した記事を書きました。
記事を読んでもらうための工夫を行う(3)スクロール率や読了率を見る意味と計測方法を理解する
こちらを利用することで、どこまで読んだのか?最後まで読んでくれたのか?を把握する事が出来ます。
しかし、最近講演後に、あるメディアの担当者から質問をいただきました。「スクロールとか読了だとページ内を移動していることはわかるが、本当に読んだと言えるのか?」という事です。確かに10秒でも2分でもスクロールをしていれば読んだこと扱いになってしまいます。
そこで今回、紹介したいのが「ページに特定の時間いたらGoogle アナリティクスで計測する」という内容になります。これを単体で使っていただいても良いですし、スクロールとあわせて利用する事で更に精度が高い分析を行えます。
Google Tag Managerを利用した方法を紹介しますので、社内の担当者あるいは外部委託先に設定をしてもらうとよいでしょう。
1)「変数」内の「組み込み変数」から「On-Screen Duration」にチェックを入れる
2)「トリガー」を新規に作成する
トリガーのタイプ:タイマー
イベント名:gm.timer(最初から入った状態です)
間隔:何ミリ秒ごとにデータを送るか
制限:その間隔で最大何回送るか
これらの全ての条件が(以下略):計測対象ページを設定する
この時に、何を設定すればよいか迷うかと思います。
以下3点を意識してみましょう。
計測対象ページ:全てのページで取得しないほうが良いです(1回の訪問で送ることが出来るデータ回数に制限があるため)。なので基本は記事ページのみにしておきましょう
間隔:まず少しでも興味を持って読み進めたか。これを判定する事が大切になります。
最初にデータを送るタイミングは、開いてから20秒くらいが良いでしょう。なので、「20000(ミリ秒なので)と設定します
制限:ここは3~6回あたりが1つの目安かなと考えています。3回であれば1分、6回であれば2分までを計測出来ます。上記に書いた通り、1回の訪問で送ることが出来る回数に上限があるため、取り過ぎるとその人の訪問の後半のデータが取得されなくなる可能性があります。
3)タグを作成する
計測のためのタグを作成しましょう。
タグの種類:Google アナリティクス ユニバーサルアナリティクス
トラッキングタイプ:イベント
カテゴリ:●秒以上滞在 (秒数を計測していることが分かる任意の名称)
アクション:{{On-Screen Duration}} (表示時間を計測出来ます)
ラベル:{{Page Path}} (どのページなのかがわかります)
非インタラクションヒット:真 (偽だと直帰率に影響を与えるため)
後はテストして公開すれば計測開始です。
Google アナリティクスのイベントのレポートから結果を確認できます。ここではページでは絞り込んでいませんが、ページ単位に絞り込むことも可能です。
まとめ
メディアサイトは、ページビューのほぼすべてが記事ページです。だからこそ、しっかり記事が読まれているのかをはかる測ることは非常に大切です。ページビューを事業としての目標におきつつも、そのページビューの「質」を知ることも大切です。質を上げていくことが結果的に再訪問に繋がり、さらなるページビューの増加に繋がります。
ぜひスクロールや読了以外にも、滞在を取得することを検討してみてはいかがでしょうか?
株式会社日本ビジネスプレスCAO
小川 卓
【プロフィール】University College London (UCL:英国)・早稲田大学大学院理工学研究科を卒業。渡米・渡英合計14年。TOEIC 965点(2010年)・GAIQ(2017年)・ウェブ解析士マスター(2016年)。趣味はピアノ・テレビゲーム・サッカー・温泉。ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。2018年3月より株式会社日本ビジネスプレスCAO。
※日本ビジネスプレスではMediaWeaver(メディアウィーバー)をご利用のメディア様向けに「グロースハックコンサルティングサービス」を行っております。ぜひ担当者までお声掛けください。
(内容はすべて執筆時の情報です)