メディアを評価する上で大切な指標は沢山あります。サイトが挙げる広告収益、有料会員登録数、サイトに来た人数、そしてもちろんページビュー数も大切です。これらの指標は多ければ多いほど事業にとっては良い数値であることは間違いありません。
では、これらの指標を増やすために最も重要なのは何でしょうか？それが今回の記事のテーマです。
ユーザー数やページビュー数は最重要指標なのか？
事業にとって重要な指標を増やすためには、何が必要でしょうか？まずは大勢の人に来てもらう必要があります。そのため「サイトに来る人数」は確かに重要です。しかし、この人数に関しては必ず上限があります。言い換えると想定読者には上限があるという事です。
例えは弊社が運営しているニュースサイト「JBPress」は日本語で作成されています。この時点で読者の大半は日本人であることは間違いありません。また読者の多くは男性であり、35歳以上の男性の比率が高くなります。10代の女性が見に来るサイトではありません。
こうやって絞っていくと月間2000万「ページビュー」は可能でも、2000万「人」を目指すことは簡単ではないことがおわかりいただけるかと思います。従って人数は適切ではないと筆者は考えます。またページビューに関しても、記事の分割数などによっても変わってきます。重要な指標ではあるものの、判断が難しい所です。
それ以外の「会員登録数」「売上等」に関しては、様々な取り組みの「結果」であって、成長をドライブするための指標ではありません。
本当に重要な指標は「リピート訪問数（1人辺りの平均訪問回数）」
事業をドライブするのに最も重要なのは「リピート訪問数」あるいはそれに近しい「1人辺りの平均訪問回数」です。サイトに来る人間の数には限界がある。それではボリュームを増やすためにはどうすれば良いのか？リピートの訪問数を増やしていくかありません。
以下は、Google アナリティクスが提供している「ベンチマーク」機能から取得した、一日の訪問数ごとの指標です(2017年調べ)。
注目するべきは「新規率」のところです。サイト規模が大きくなるほど「新規率」が下がる傾向があります。これは言い換えると、「大規模サイトほどリピートの比率が高い」という事です。サイトをある一定以上広げるためにはリピート訪問数を確保することが大切になってくるのです。
リピートを増やすことで1人あたりの接触機会を増やし、会員登録や広告時の閲覧やクリックに繋げていくという考え方です。
Google アナリティクスでの確認方法
自社サイトの数値を確認してみましょう（通常は月をオススメします）。
ユーザー＞概要 レポートでは「ユーザーあたりのセッション数」が該当期間で1ユーザーが何回サイトに訪れたかが分かります。
ユーザー＞行動＞新規顧客とリピーター レポートでは「Returning Visitor」を確認する事で、リピートの人数と訪問回数が分かります。
※Returning Visitorの「ユーザー数」が人数、「セッション」が回数を表します。例えば1人のユーザーが３回リピートした場合は、人数＝１、セッション＝３ と計測されます。まずは回数で評価をしていきましょう。
何回を目指したらよいのか？正解はありませんが、多くのメディアのデータを拝見したところ、まずは「月2回（つまりユーザーあたりのセッション数が2以上）」を目指すのが良いのではないでしょうか。これをベンチマークとしてみてください。
次回はこの指標に関しての分析や改善方法について触れていきます。お楽しみに！
株式会社日本ビジネスプレスCAO
小川 卓
【プロフィール】University College London (UCL：英国)・早稲田大学大学院理工学研究科を卒業。渡米・渡英合計14年。TOEIC 965点(2010年)・GAIQ(2017年)・ウェブ解析士マスター(2016年)。趣味はピアノ・テレビゲーム・サッカー・温泉。ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。2018年3月より株式会社日本ビジネスプレスCAO。
※日本ビジネスプレスではMediaWeaver（メディアウィーバー）をご利用のメディア様向けに「グロースハックコンサルティングサービス」を行っております。ぜひ担当者までお声掛けください。
