2018.12.6

記事を読んでもらうための工夫を行う(2)最後まで読んでもらうための工夫

小川 卓(株式会社日本ビジネスプレスCAO)

分析 メディア
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

記事を読んでもらうための工夫を行う(2)最後まで読んでもらうための工夫

せっかく書いた記事を読んでもらうための工夫はサイトのページビュー数や回数を増やすためにも非常に大切です。そこで、数回にわたり「(複数)記事を読んでもらうための工夫」について筆者の知見やノウハウから紹介していきます。

   第1回 導線を明確に

第2回は記事を最後まで読んでもらうための工夫です。そもそもなんで記事を最後まで読んでもらう必要があるのか?それはせっかく皆さんあるいはライターさんが書いた原稿だからこそその内容をなるべく多くの人に伝え理解してもらいたいという事が挙げられます。それがサイトのレイアウトや見せ方によって阻害しているという事になれば非常にもったいないです。

また読者が他の記事を見たり、広告をクリックしたりするタイミングの大半は「記事を読み終わった後」です。そうなると、まずはそこまで連れていかないと、さらなるページビューや広告収益の獲得が出来ないというビジネスの視点もあります。では、どのようにこれを実現すればよいのか?早速見てみましょう。

文章の途中で離脱させないための工夫

ユーザーは文章を読んでいる時、どういったタイミングで離脱をしてしまうのか。これは大きくわけて3つのパターンがあります「思考が中断されてしまった時」「内容が理解出来なくなってしまった時」「読み疲れてしまった時」の3つです。それぞれをもう少し整理しながら対策を考えてみましょう。

1:思考が中断されてしまった時

読んでいる時に他のことに興味がうつってしまう、あるいは何かしらの理由で流れが中断された場合に「わからなくなってしまい」離脱してしまうことが多いのです。誰かに声をかけられたというような外部要因はさておき、これが記事のレイアウトや見せ方によって起きてしまっては非常にもったいないです。

ではどういった時に起きるのか。1つは不用意な広告が目に入ってしまうという事です。筆者は基本的に「記事中の広告」はオススメしません。その間に何を読んでいたかが分からなくなってしまう可能性が高いです。広告を入れるのであれば、記事の最初か最後の方が良いでしょう。
 

■記事途中に広告が入るパターン

 
実際に筆者が過去に分析した際も、記事中にある広告はほとんどクリックされていまないところが、ページの離脱率が上がってしまう傾向が見てとれました。

また同じように大切なのは、ページ間の移動をする時に「次にどういった内容が出てくるか」をしっかり書いて誘導することです。クリック率の改善にもつながりますし、思考の中断をある程度防ぐことが出来ます。
 

■JBPressの場合

 

2:内容が理解出来なくなってしまった時

これは内容が難しかったり、情報量が多かったりすることにより、「結局何の話だったけ?」というような思いをいただいた時に離脱をしてしまうという事です。

対策が難しいケースですが、筆者がオススメするのは都度重要なポイントを整理してあげる、あるいは、この記事で伝えたいポイントはここですよ!というような説明を入れるというのが良いかなと考えています。

例えばlivedoor ニュースでは、記事の最初に「ざっくり言うと」という事で記事の概要を説明し、「それなら読んでみるか」という工夫をしています。
 

 
このようなユーザーを記事の最初あるいは途中で導く施策を検討してみてはいかがでしょうか?
 

3:読み疲れてしまった時

ページのスクロールを分析すると、ユーザーが離脱しないポイントはいくつかあります。それは「見出し」「表」「画像」の3つです。また文章がずっと続くと離脱しやすいという傾向があります。

これを意識するのであれば、文章に適度な間隔で見出しを入れたり、複数ページに渡る記事であればページごとに1枚は画像を入れたりといった工夫が必要になります。筆者はゲームに例えて「画像はセーブ(保存)ポイント、見出しはロード(読み込み)ポイント」という言い方をしています。

つまり画像が出てきたタイミングで一休みし、また見出しから「よし次を読むぞ!」という気持ちにさせることが大切なのです。1つ目のポイントで記事の途中には広告を入れないほうが良いという話をしましたが、もし広告を入れるのであれば、次の見出しの直前が(まだ)良いかと思います。文章と文章の間ですと思考が阻害されてしまいますが、読み終わったタイミングであれば「一休み」の間隔で見てくれる可能性があります。
 

■記事内に広告を入れるのであれば、見出しの直前

 

まとめ

3つのポイントを紹介してきました。ちょっとした工夫で、より多くの読者が最後まで読んでくれる割合を改善することができます。読んでいただければ、他のページを見てくれる可能性も高まったり、またメディアに対しての理解を進んだりとメリットも多いです。

単純に記事のページビュー数を見るのではなく、そのページの中身をしっかり読んでくれる。こういったことも意識していきましょう。次回は解析の方にちょっと戻りまして、記事の読了率やスクロール率を計測する方法を紹介いたします。お楽しみに。
 

記事を読んでもらうための工夫を行う(1)導線を明確に
 

株式会社日本ビジネスプレスCAO

小川 卓

【プロフィール】University College London (UCL:英国)・早稲田大学大学院理工学研究科を卒業。渡米・渡英合計14年。TOEIC 965点(2010年)・GAIQ(2017年)・ウェブ解析士マスター(2016年)。趣味はピアノ・テレビゲーム・サッカー・温泉。ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。2018年3月より株式会社日本ビジネスプレスCAO。

 

※日本ビジネスプレスではMediaWeaver(メディアウィーバー)をご利用のメディア様向けに「グロースハックコンサルティングサービス」を行っております。ぜひ担当者までお声掛けください。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加