2018.7.17

ページビュー数を増やすために(3)KPIの設計のしかた公開します

小川 卓(株式会社日本ビジネスプレスCAO)

分析 メディア
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ページビュー数を増やすために(3)KPIの設計のしかた公開します

前回の記事では、KPI(山の登り方)を決める理由と考え方を紹介いたしました。今回は弊社メディア「JBpress」でどのようにKPIを設計したかを公開します!皆さんのメディアでのKPI設定の参考になれば幸いです。

まずはページビュー数を分解する

「JBpress」のビジネスゴールは売上を増やすことです。売上は主に「広告」そして「有料会員」によって作られています。2017年の目標として、「広告」でいただける金額を増やすために、ページビュー数を伸ばすことをゴールとしました。

売上の観点だけでいえば、「広告のクリック」あるいは「広告記事の閲覧」を増やすのが直接的なのですが、それだと「広告」だけを意識した改善案を考えることになり、読者にとって必ずしも良い施策にならない可能性があります。そこでまずは純粋にページビュー数を伸ばすという目標で2017年は進むということになりました。

ちなみに現在(2018年7月)はページビュー数もそうですが、会員登録数(無料・有料共に)増やすことも目標としています。

さて、ページビュー数を伸ばすためには何をすれば良いのか。まずはページビュー数を以下の形で分解しました。
 

 
ページビュー数は3つの要素に分解できます。文章にすると「何人が、月に平均何回サイトに来て、来た時に平均何ページ見ているか。その掛け算がページビュー数になる」ということです。

例えば、月間1,000万ページビュー = 100万人 × 2回 × 5ページ といった具合です。皆さんのメディアでもこれらの数値がどうなっているかをまずは確認しましょう。

つまりページビュー数を増やすためには「訪問者数を増やす」「来る頻度を増やす」「来た時に見てくれるページ数を増やす」のいずれか、あるいは複数を実現出来ればよいということが、この式からわかります。

分解した要素に対しての施策を洗い出してKPIを決める

分解した3つの要素はKPIではありません。KPIは前回の記事でも紹介したように戦略を決めるということです。今のままでは戦略まで落とし込めていません。

それぞれの要素をどのような方針で増やしていくのか。それがKPIを決めるということです。さて「JBpress」の場合はどうしたのか?先に結論をお伝えすると以下の通りとなります。
 

 
1つずつ確認していきましょう。訪問者数を増やす戦略としては「Yahoo!News以外の流入数を増やす」というKPIになりました。Yahoo!Newsからの流入は取り上げていただけるかによって大きく左右されるため、安定して流入が望みやすい検索エンジンからの流入増加をはじめとする集客施策の最適化を図ることになりました。

平均訪問回数に関しては、月に複数回来てもらえるような改善方針を考えました。月に1回しか来ていない人を、月2回まずは来てもらうという部分に注力し、「月2回以上来てくれるユーザーの割合」を増やせば、平均訪問回数が改善出来るという考え方です。

最後に平均閲覧ページビュー数に関しては、記事のページ数等に依存してしまう部分も多いので、「記事をとにかくページ分割する」みたいな施策に陥らないように、「訪問時に2記事以上閲覧してくれる割合」を増やすという方針を決めました。この割合が増えれば、平均閲覧ページ数も増えるという考え方です。

どのような方針を取るかは、サイトの現状によって変わってきます。特にどういう施策がサイトで出来て、あるいは出来ないのか。出来ることを整理した上で、戦略を決めるという形になります。例えば「JBpress」の場合は、「月2回以上の割合」にしましたが、他の選択肢もありえました。例えば、会員になっていただいた方は月の訪問回数がサイトの平均よりかなり高いということがデータからわかっていました。そのため「会員数を増やす」というKPIもあり得たということです。

今回はKPIの設定方法を「JBpress」を例に取り上げました。次回はこれらの数値をどうやって取得するのか?Google アナリティクスでの取得方法などについても触れていきます。お楽しみに!!

第1回 まずは目標を整理
第2回 KPIを決めましょう

株式会社日本ビジネスプレスCAO

小川 卓

【プロフィール】University College London (UCL:英国)・早稲田大学大学院理工学研究科を卒業。渡米・渡英合計14年。TOEIC 965点(2010年)・GAIQ(2017年)・ウェブ解析士マスター(2016年)。趣味はピアノ・テレビゲーム・サッカー・温泉。ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。2018年3月より株式会社日本ビジネスプレスCAO。

 

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(内容はすべて執筆時の情報です)

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