記事を読んでもらうための工夫を行う(3)スクロール率や読了率を見る意味と計測方法を理解する
書いた記事がどれくらい読まれているのか?多くのメディアでは「ページビュー」を評価指標として利用していますが、ページビューは「開いてすぐ帰ってしまったページビュー」も「記事を最後までしっかり読んでくれたページビュー」も同じ1としてカウントしてしまいます。
読者が最後まで読んでくれる記事はどういった記事なのか、読者の行動を理解するためには「記事を読んだ」ことを計測する必要があります。Google アナリティクスを利用して「スクロール率」と「読了率」を計測する方法を紹介いたします。なお、この方法を利用するためには「Google アナリティクスをGoogle Tag Managerを利用している」必要があるためまずは自社サイトがそのような状態になっているかを確認しておきましょう。
第1回 導線を明確に
第2回 最後まで読んでもらうための工夫
スクロール率と読了率の違い
似たような用語ですが、それぞれ意味合いが違います。「スクロール率」はページの高さを100%とした時にページの何%までスクロールしたかを意味します。
例えばある人はページ全体の80%までスクロールした、別の人は10%しかスクロールしなかったというような形です。集計時は以下のような形のレポートが出てきます。

こちらはあるページのレポートですが、20%までスクロールしたのが677回、40%までスクロールしたのが582回というような表示になります。最後まで到達している割合が高いほどしっかり読まれている記事であることがわかります。
このようなどこまでスクロールしたかを見るのは便利なのですが、1つだけ課題があります。それは「記事や記事後のレコメンド等の長さによって記事の終わりの%は、記事ごとに違う」ということです。
つまり記事本文が長い場合は、記事読了の%が82%、記事本文が短い場合は、記事読了の%が50%になってしまうということです。


このように記事によって終わるところが違うと、最後まで読んで人数やページビュー数を出すのが難しいという事になってしまいます。
そのためこの方法は記事に利用するというよりは、長さが普段は変わらない「トップページ」「カテゴリページ」「ランキングページ」「入力フォーム」等で利用するのが良いかと思います。
それでは、どのように記事を最後まで読んだのかを計測すればよいのか?そのためにもう1つの方法を紹介します。それが「読了率」という考え方です。名前の通り、記事を最後まで読んでくれた割合を計測するものです。
では、これはどのようにデータを取得するのか。考え方はシンプルです。その方法とは「ページ内に何かしら要素(画像や文章)が表示されたらGoogle アナリティクス」にデータを送るという方法です。
例えば先ほどの画像であれば、記事後の「あわせてお読みください」の見出しが表示されたらGoogle アナリティクスにデータを送るという形です。この方法を使えば記事の長さに関わらず、最後まで読んだ人の数が分かるようになります。


集計された結果は以下の通りです

ただしこの方法に関しては、読了かそれ以外しかわからず、未読了の人のスクロール率などは計測出来ないため併用するケースもあります。
計測方法に関して
計測方法を本ブログで詳しく触れても良いのですが、読むのが大変だと思われるので、筆者が以前オンラインで具体的な記事を書いているため、まずはそちらをご一読いただければ幸いです。Google Tag Managerを設定している会社に共有・相談していただくのも良いでしょう。
15分で設定完了! Google Tag Managerで記事の「読了率」と「スクロール率」を取得しよう【小川卓のブログ分析入門 第2回】
計測出来るようになると、記事の評価の仕方も変わってきますし、自社サイトならではの気付きも見つかるのではないでしょうか。
また以下記事もまだ読まれていなかったら、参考にしてみてください。記事の読了率や読んだ後の離脱を防ぐための具体的な方法を書いております。
記事を読んでもらうための工夫を行う(1)導線を明確に
記事を読んでもらうための工夫を行う(2)最後まで読んでもらうための工夫

株式会社日本ビジネスプレスCAO
小川 卓
【プロフィール】University College London (UCL:英国)・早稲田大学大学院理工学研究科を卒業。渡米・渡英合計14年。TOEIC 965点(2010年)・GAIQ(2017年)・ウェブ解析士マスター(2016年)。趣味はピアノ・テレビゲーム・サッカー・温泉。ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。2018年3月より株式会社日本ビジネスプレスCAO。
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(内容はすべて執筆時の情報です)