2019.10.3
イベント登壇報告:「PVだけに頼らないKPIって?『人が集まる』『読まれる』メディア戦略」
株式会社キメラ社のイベントにて、データサイエンス部の工藤がJBpressのお話をさせていただきました
工藤 麻里(株式会社日本ビジネスプレス)
メディア 分析株式会社キメラ社のイベントにて、データサイエンス部の工藤がJBpressのお話をさせていただきましたのでご報告します。
開催概要:
開催日時: 2019年9月25日(木)
パネルディスカッションタイトル:「PVだけに頼らないKPIって?『人が集まる』『読まれる』メディア戦略」
パネリスト: 株式会社メディアジーン 金沢様 / 株式会社時事通信社 春山様 / 株式会社日本ビジネスプレス 工藤
モデレーター: 株式会社キメラ 中山 明子様
会場となったキメラ社(東京・渋谷)のオフィスに各媒体社のウェブサイトご担当者が20~30名程度お集まりいただきました。
はじめに
- ・パネルのタイトルが「PVだけに頼らないKPI」ではありますが、現状JBpressはページビューをKPIとして使っており、現状も多くのメディア社がページビューをKPIとして使っていると想定しておりますのでページビューをどのような視点で見ていくか?という立場での回答をしています。
- ・このイベントはJBpressでも利用している「Chartbeat(チャートビート)」というツールのユーザー会という側面も持っているため、Chartbeatの話を積極的に触れています。
パネルディスカッションの様子
この記事では、パネルディスカッション内で、弊社がお伝えした内容に加筆して公開します。ご質問は以下の3点でした。順に回答していきます。
- Q1.御社ではどんなKPIを設定していますか?
- Q2.KPIをどんな体制で測定し、現場で生かしていますか?
- Q3.脱・PV偏重のKPI設計のために何ができますか?
Q1.どんなKPIを設定していますか?
ページビューを全社で使う共通指標として使っています。メディア運営上は、PVの構成要素を因数分解し、「流入数」「月間平均訪問回数」「平均閲覧PV数」の3つのKPIを2017年頃から2年ほど使っています。
このKPI設計については、最高分析責任者(CAO)小川の記事にて詳細を公開していますのであわせてご確認ください。>>「ページビュー数を増やすために(3)KPIの設計のしかた公開します」
Q2.KPIをどんな体制で測定し、現場で生かしていますか?
総ページビューについては「誰でも自由に見てください」というスタイルです。常時確認できるレポートをGoogleデータポータルで作成しています。
また、編集部員の多くはリモートで勤務しているので、皆がチャットツール(SLACK)でつながって情報を共有しています。私(工藤)自身も在宅がほとんどです。朝、Chartbeatを見て、盛り上がっていれば、PVをさらにアップさせるドライバーになるポイントを探し、各編集者に記事の修正をお願いしています。GoogleアナリティクスやChartbeatなどのツールを使うことは難しいことではないし、その点で躓いてほしくないので、ツールの使い方を聞かれたら何度でも教えています。
上記のように具体的なコミュニケーション手法については、パネルディスカッション後の懇親会にて数名から「参考になりました」「自社の編集部でもやってみたい」という声をいただきました。またリモートでの勤務に興味を持っていただいた方もいらっしゃいました。より詳しく知りたい方、またなんとなく社内コミュニケーションがうまくいかないので相談したいな…という方もぜひ弊社までお問い合わせください。
Q3.脱・PV偏重のKPI設計のために何ができますか?
ページビューは絶対的な目標ではなく、あくまでも結果論で、共通言語になるものです。メディア運用担当者の皆様は「総ページビュー」という大枠だけの視点ではなく、もっと分解したポイントや武器を持ってほしいと考えます。
メディアのKPIがページビューである場合でも、もう少しミクロの視点で見てみましょう。例えば、
- 「ウェブサイトを見て回っているユーザーの感情はどうなのか?」
- 「どこに打ち手を打つことができるか?(またはできないか?)」
というようなものです。例えば1記事あたりのページ分割を増やせば当然ページビューは増えるかもしれませんが、それはやりません。ユーザーが楽しんでいるか、気持ちよく読めているか?に注意を払い、ユーザビリティを阻害する対応は避けます。また、例えば、とある流入元から大きく流入が増えている場合であっても、それがコントロール不可能なものである場合は、(それが小さいドライバであっても)コントロール可能な指標、例えば回遊の改善や総数が小さくても自社メルマガの改善などに目を向けます。
上記のように、より切り込んだ視点を持つために、Chartbeatなどのツールが役立つ場合は積極的に使ってみてください。
また、JBpressでは、月次の拡大編集会議(編集メンバーとデータサイエンス部メンバーなどが合同で行うもの)を行っていますが、編集者に対して「PVの多い記事ランキング」の話を極力強調しないように気をつけています。確認してほしいのは、「会員登録した人が読んでくれた記事」などです。 このような記事ランキングを見ることで、質の高い記事は何だったのだろうか?JBpressにとって本質的な記事とは何か?という議論をする時間を取るようにしています。このあたりはChartbeatツールが重視しているエンゲージメントの概念と近いものがあり、共感しています。
参加してみての感想
(本ブログには書きませんでしたが、同イベントで登壇された)メディアジーンの金沢様は、メディアを複数運営している中で、KPIを売上・収益・コストに分けて組み上げていく手法を話されており、また時事通信の春山様は、歴史のあるメディアの中でどのようにデジタル変革に向き合っていくか?を苦労しながら日々向き合っている様を共有され、大変有意義な会となりました。
またこのイベントの冒頭には基調講演として、株式会社ダイヤモンド社 ビジネスメディア編集局局長の麻生 祐司様が「紙×Web戦略を成功に導く、KPIと組織づくりの秘訣」というタイトルで基調講演をされました。ほかでは聞けない貴重な内容をご共有いただき、どうもありがとうございました。
会場の皆様は、パネルディスカッション終了後の懇親会まで残っていただき交流を深められました。媒体社のウェブ担当者同士で会話をする場がめったにない中このようにツールベンダー社が場を用意し、共通の課題を議論したり、メディア業界をどのように良くしていくか?話し合う場は貴重でした。
会場では、媒体社の皆様の「数字の見方がわからない」「どうツールを使えばよいかわからない」などのお悩みもご共有いただきました。弊社ではメディア運営に伴う数字やツールの使いこなし方などを積極的に情報発信していきたいと思っております。定期的に公式ブログをチェックしていただけますと幸いです。
参考リンク
- メディアの「分析」に関する日本ビジネスプレスの記事はこちらから >> https://www.jbpress.co.jp/subcategory/%E5%88%86%E6%9E%90
- 「Chartbeat(チャートビート)」ツールについてはこちらから >> https://chartbeat.jp/
- 「株式会社キメラ」についてはこちらから >> https://ximera.co.jp/
(内容はすべて執筆時の情報です)